「言の葉の庭」に見えた共感と違和感の合間 - 適宜覚書-Fragments

「言の葉の庭」に見えた共感と違和感の合間

      2017/03/03

ちょうど今(12/11-17)無料動画 GYAO!で新海誠監督のアニメーション映画「言の葉の庭」「星を追う子供」「秒速5センチメートル」「雲のむこう、約束の場所」の四作品を公開している。公開されたばかりの「ほしのこえ」というショートフィルムを目にして「たった一人でこんなもの作るなんて…」と仰天したのは、今は昔。

率先してアニメを見に行くようなことが無くなって久しいけれど、こんな手近で見られるなら、と「言の葉の庭」を見てみました。45分くらいの作品ですが、圧倒的な描き込みにずっと目を奪われていました。(ちなみにアニメの感想ですが文字だけです。画像はありませんので悪しからず)

冒頭から凄いです。水面にポツポツと落ちてくる雨、交差する電車を車体下から俯瞰、青々と茂り揺れる枝葉のありよう、新宿駅付近の複雑な架線と電車、ここまでやるかと思うような描き込みぶり。近年アニメから遠ざかっていたので、他の作品と比べてどうと言える知識を持っていないのだけれど、もう少し手を抜いたって良いんじゃないかと思うくらいに細かい。

写真か動画に何かフィルタを使って背景素材にしているのかと疑ってしまうけれど、その一方でそれならそれで明らかに何か違和感がある。ある意味出来過ぎているというか緻密すぎるが故に不自然であり、これは描いたものなのだなと気付かせる。わざとそういう風にしているのかしら?

ストーリーというか登場人物のありようは、非常に単純で分かりやすい。若い男の子が雨宿りの公園の東屋で年上の女性に出会う。二人共に生きづらさや今のあり方に挫折を感じていて、少しずつ知らず惹かれあっていく。とてもありふれた構成で、使い古されたものと言って良いだろう。

しかし、ありふれた素材の筈なのに、卓越した映像美、モノローグの間の取り方、もの悲しくも綺麗なBGMの組み合わせが、二人の繋がりやそのすれ違いをよく表現している。うまいこと没入させられて「やられたなあ」と思ってしまった。最後の最後までシナリオ上の驚きは無かった。「そうなるだろうなあ」あるいは「成程なあ」だった。それは悪い意味ではなく、凄く良い意味で奇をてらわず、余計なことで悩まずに共感を持って見られたということだ。

ただ、それでも不思議な面も多い。正直言って自分は主人公ともヒロインとも全く違う生き方をしてきている。どうしてこう共感するような流れで受け止めさせているのだろう?自問自答したもののこれという回答はない。投げっ放しなのだけれど、ある意味そこがこの作品の面白さなのかもしれない。冒頭に書いた出来過ぎている映像美の若干の違和感と同様、このアニメは共感させつつも微妙に腑に落ちないという不思議なバランスを保っているような気がする。

我ながら妙なところなのだけど、最後あたりの遠景で空を回遊している鳥の群れの描写なんかは個人的に「あー、これよく見るなあ。あるある」と思いつつ「でも、ちょっと違う。凄く良く再現しているけど違う」と思い直す。そういうどうでもいい細かいところが何となく細部に神は宿るというかこの作品の根底に紐づいているんじゃないかな、なんて…。まあ、感想と言うにはお粗末ですがダラダラと書き連ねてみました。

たった一週間の公開なんで興味がわいた人は「言の葉の庭」是非見てください。

適宜覚書-Fragmentsは、筆者が興味をもった様々な情報やネタを筆者が忘れても後で思い出せるよう覚書として公開するBlogです。Google Chrome拡張、Facebook、Google、Twitter、Windows、各種Webアプリなどを扱うことが多いです。この覚書が、もし何かお役立ちになれば幸いです。

 - Tips