クラスター爆弾での国防は「必ず出る犠牲は多めに見ろ」なの? - 適宜覚書-Fragments

クラスター爆弾での国防は「必ず出る犠牲は多めに見ろ」なの?

      2017/03/02

日本では、クラスター爆弾を上陸してくる敵を海岸線で防ぐために使うことが想定されている。田母神空幕長は「クラスター爆弾で被害を受けるのは日本国民。国民が爆弾で被害を受けるか、敵国に日本が占領されるか、どちらかを考えた時、防衛手段を持っておくべきだ」と述べた。

asahi.com:「クラスター爆弾は防衛に必要」 空幕長が明言 - 政治

本当にそんなこと言ったのだろうか?この書き方では、必ず日本国民に被害が出るが守るためには仕方がないということになってしまう。自分はリスクゼロにするべきという極論に立つつもりはないが、被害が必ず前提にあると言われればまずいと思う。

平和ボケと言えば平和ボケなとらえ方かもしれない。大陸のように隣国がいきなり押し込んできたり、内紛で隣人に家族皆殺しになる脅威は無い。だから、占領されたらどうしよう、と想定して物事を考えることが難しいのだ。

とはいえ、重大な危険性を伴う話を一部の人が決めつけていつの間にか進めてしまうことに怖さを感じる。この怖さは不信感と言い換えても良い。守るために守るべきものの被害をも覚悟すべきという考え方は、少しずれれば守るための武器が積極的に守るべきものを傷つける方向に向く可能性も孕んでいる。

なんでこんな話に噛みついているかと言えば、昨日ちょうどクラスター弾の戦後処理をしている人へのインタビュー記事を読んだからだ。東欧の内紛で使われたクラスター弾は地雷のようにその地域に残留していた。彼はそれを無力化し撤去する仕事をしていた。仕事中に草むらを探索した瞬間ガラスが割れるような音がして気を失った。気がついた時には病院で命を取り留められていたが両腕は無くなっていた。その後も体には爆弾の破片が大量に残っていて長く病院に通い通算4回ほど手術もしたと言う。彼は期待されたサッカー選手だったが、当然その生き方は出来なくなった。

運が悪かったのだと言えばその通りだろう。内紛があったことも、クラスター弾が使われたことも、彼が不発弾にあたったことも運が悪かった。でも、言い換えるなら必然じゃなかった。そうならないようにすることだって出来た筈だ。自分はそういう武器を使わないことが一つの確実な解だと思う。

ちょうどそういった話が注目を浴びている折でもある。

クラスター爆弾禁止条約の締結をめざす国際会議が23日、リマで開会した。議長国ペルーが即時全面禁止を柱とする条約案を作成し、条約の内容についての議論が本格化する。ラオス、タイなどが新たに参加し、参加国は前回のオスロ会議の49カ国よりも多い68カ国となった。だが、大生産国である米国、ロシア、中国やイスラエルは参加していない。

asahi.com:クラスター爆弾禁止条約 締結向け議論始まる リマ会議 - 国際

生産国が参加しないのは当たり前だろう。彼らは自国が被害を蒙ることは想定していない。他国に売りつけるか、他国の紛争に出張っていって殺戮を行うだけだ。痛みなんかある訳ない。

日本政府は、クラスター爆弾禁止に積極的な国が集うオスロ・プロセスよりも、米ロ中など102カ国が加盟する特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の枠組みで議論を進めるべきだとの立場だ。オスロでは宣言への態度を留保した。

asahi.com:クラスター爆弾禁止条約 締結向け議論始まる リマ会議 - 国際

上記の日本の状況があるからさもありなん。ただ、CCWでの議論が何かしら実効をあげているという話も聞いたことは無い。

参考情報

  • クラスター爆弾絵付きでとっても分かりやすい。狙った範囲を長く使い物にならなくするには優れた殺傷兵器だ。子弾の種類を用途によって変更出来るという仕組みも使い勝手の良さだろう。

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