書くのも読むのも苦手な表現 - 適宜覚書-Fragments

書くのも読むのも苦手な表現

   

俺が極力目にしたくない表現というのは仲間内表現の隠喩。読む人が読めば分かるけどそうじゃない人にとっては意味不明となってしまう。それは、ある種の前提知識や共有認識があって漸く意味をなすものだ。その状況を例えるならば、プロトコル…もっと厳しく言えば暗号化である。つまり通信規約なり復号手段を知らなければ内容が理解出来ない。「某場所」「某人」「某メーリングリスト」「アレ」「ソレ」「あの馬鹿」「このアホ」。分かる人には意図通り伝わるし、それ以外は除外される。

文章を書く人間は内輪が目を通すことを前提にそういう文章を書く。場合によってはそこまで意識せずに使ってしまうこともあるだろう。しかし、受け手にとっては違う。受け手にとってあまり良い選択肢は無い。書き手がそういう表現を使った時点で読み手は否応なしにその表現を解釈することを強制される。通信規約を文章読み取りと同化するまでに至っている読み手や隠喩を仲間の証明として楽しめる読み手にとってこの文章を解釈するのは苦ではない。

しかし、俺は隠喩の意味を解釈出来ても楽しめないし、また隠喩の意味を理解出来ないので暗号としてしか認識出来ない場合が多い人間だ。隠喩の解釈が仲間内の境界線であるならば、それに溶け込まぬ者は仲間ではない。アウトサイダーであることを認識した場合の選択肢は、大きく分けて以下、またはその混合である。

  1. 理解出来るよう通信規約を覚える(擦り寄る)
  2. 理解しないまま放っておく(現状維持、但し不快蓄積)
  3. 理解したくないので距離を取る。もしくは断絶(離れる)

勿論、そんなことまで気にしておらず軽い遊びだ…という解釈もあろう。しかし、考えてみると良い。WWWでWebサイトを公開して何かしら言葉を伝えようとするならば、解釈する人間が仲間内に限られる訳ではないし、ある程度交流を持ちたいと思って読み進んでも意味不明の隠喩で満ち溢れているがために解釈を諦められる場所は少なくない。

ジャーゴンの発生というのはある程度自然の流れではある。それは理解出来る。また、ジャーゴンの使用は言葉を集約出来、いちいち煩雑な説明を繰り返すよりも的確且つ簡潔な表現として機能する。それも分かる。多分非常に便利だし効率的だ。

しかし、そのデメリットもまた正しく理解されるべきだ。繰り返すが読み手にはあまり良い選択肢は無い。使うかどうか決められるのは書き手だけだ。だから書き手こそジャーゴンの功罪を正しく厳密に理解すべきだ。「知らなかった」「意識していなかった」というなら是非知って意識して欲しい。ジャーゴンとは書き手プロプリエタリな言葉の暗号化だ。俺は極力使いたくないし、言葉に明解さを保てるよう努力したい。また、そういう表現に囲まれた場合、閾値を超えるとどんなに魅力的な対象でも距離を取るか無き物として扱うことになるだろう。

そう簡単に峻別すべきかどうかは悩むところではある。しかし、恐らくは俺が悩む以上に遥かに軽い考えでジャーゴンの利用は選択される。その配慮の欠如と身勝手こそ俺が苛立つ元凶である。酷い場合には、「何でその程度の表現を理解出来ないの?仲間内なら理解出来て当たり前だよね」「自分の日記だし自分が分かればそれでいい」「行間を読め」と開き直られたら、怒りで頭の中が埋め尽くされること必至だが、結構そういうこと平気で言うこと出来る人いるんだな。

勿論

煩雑な表現は程度が過ぎると白ける。それも分かっている。程度問題だ。俺は極力使わないと言っているだけで、他人に使うなとは言わない。あまり使って欲しくはないけど言葉を紡ぐ際に勢いというのがあって、正しく意味を伝えるために修飾や表現が増え、その結果言葉を紡ぐことさえ億劫になって終には何も言えなくなるというのは本末転倒だ。

最終的にはバランスだ。俺みたいに極端である必要は無い。ただ、もし使うのであれば「それってどういう意味?」って聞かれたら聞く人間の背景を考えて欲しい。単に意味が分からないだけなら意味を教えてあげれば良い。でも、何度も聞かれるようならその言葉は使用出来る範囲が狭い。範囲の狭さを逆手に取るのではなく、どうすれば上手く相手と正しく意味を伝えることが出来るか、そして効率的に出来るかを意識して欲しい。その上で楽しくジャーゴンを共有できるならそれは幸せな解だと思う。頼むから境界線としての側面を強く出さないで欲しい。

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